TL;DR
このページでは、React JSX.Element の実装方法について解説しますね。一言でいうと、React JSX.Element は React コンポーネントが返すべき型です。
開発環境 | バージョン |
---|---|
TypeScript | 5.0.4 |
React | 18.2.0 |
JSX.Element とは?
JavaScript の世界において、HTML を直接コード内に記述するためのシンタックスが JSX です。これを使用することで、JavaScript の中で HTML タグを直接扱うことができ、より直感的に UI の記述ができます。React では、JSX を活用して、UI 部品(コンポーネント)を作り出します。
React コンポーネントが返すべきもの、それが JSX.Element 型です。一般的に、React コンポーネントは JSX を返す関数として定義されます。つまり、その関数が返す値の型が、JSX.Element 型となるのです。
例えば、以下のようなコードがあります。
const MyComponent = (): JSX.Element => {
return <div>Hello, World!</div>
}
ここで、MyComponent 関数が返している<div>Hello, World!</div>
が JSX で、その型が JSX.Element です。
React コンポーネントと JSX.Element
では、React コンポーネントと JSX.Element の関連を深掘りしていきましょう。React コンポーネントは、関数またはクラスとして定義することができます。それらが描画を行う際には、JSX を使用して DOM ツリーを表現します。
以下に、簡単な関数コンポーネントを見てみましょう。
type GreetingProps = {
name: string
}
const Greeting = ({ name }: GreetingProps): JSX.Element => {
return <h1>Hello, {name}!</h1>
}
ここで定義されている Greeting という関数が、React コンポーネントです。そして、その関数が返している<h1>Hello, {name}!</h1>
が JSX で、その型が JSX.Element となります。
このコンポーネントを使って、HTML の要素を生成することができます。例えば、以下のように記述します。
const element = <Greeting name="Alice" />
このように、React コンポーネントは JSX.Element を返す関数として定義されます。
ReactElement と JSX.Element の違い
実際には、ReactElement
とJSX.Element
は React コンポーネントが JSX を返す際に頻繁に使用されます。
React と JSX でのエレメントの扱い方には若干の違いがあります。これらの違いを理解するためには、まず React と JSX が何であるかを簡単に説明しましょう。
React は JavaScript のライブラリで、UI コンポーネントを作成するためのものです。React はエレメント(要素)という考え方を基に機能します。エレメントは React アプリケーションの最小の構成要素で、React アプリケーションを構成するツリーの各ノードを表現します。
JSX は JavaScript XML の略で、React エレメントを直感的に書くための JavaScript のシンタックスエクステンションです。これにより、React エレメントを HTML タグのように書くことができます。
const element = <h1>Hello, world!</h1>
このように、JSX はコードの中に HTML 風のタグを書けるようにします。これが React のコードを書く際に非常に読みやすく、理解しやすいものにしています。
では、ReactElement
とJSX.Element
の違いは何でしょうか。
ReactElement
ReactElement
は React のエレメントを表現するための型です。これは React の API を使用してエレメントを作成する際に使用します。たとえば、以下のようなコードではReact.createElement
関数を使用してエレメントを作成し、その結果はReactElement
型です。
const element: React.ReactElement = React.createElement('h1', null, 'Hello, world!')
ここで作成されたelement
はReactElement
型であり、このエレメントを React のレンダリング API に渡すことで画面に表示することができます。
JSX.Element
一方で、JSX.Element
は JSX 式から返されるエレメントを表現するための型です。JSX 式を使用してエレメントを作成すると、その結果はJSX.Element
型になります。
const element: JSX.Element = <h1>Hello, world!</h1>
ここで作成されたelement
はJSX.Element
型であり、このエレメントも同様に React のレンダリング API に渡すことで画面に表示することができます。
ReactElement
とJSX.Element
はどちらも型であり、コンポーネントが返すべき JSX の形状を記述します。あるコンポーネントが特定の形状の JSX を返すことを期待する場合、そのコンポーネントの返り値の型としてこれらのいずれかを指定することができます。
以下に例を示します。
function Hello(): React.ReactElement {
return <h1>Hello, World!</h1>
}
この例では、Hello
コンポーネントはReactElement
を返すことを期待しています。つまり、このコンポーネントは JSX を返すことが期待されており、その形状はReactElement
であるべきです。
JSX.Element
も同様に使用できます。
function Hello(): JSX.Element {
return <h1>Hello, World!</h1>
}
ここでも、Hello
コンポーネントは JSX を返し、その形状はJSX.Element
であることが期待されています。
したがって、ReactElement
とJSX.Element
はどちらもコンポーネントが JSX を返すことを記述するために使われます。これらは基本的に同等であり、使用するかどうかは主に開発者の個人的な選択、またはコードベースの既存の規約に依存します。
まとめ
要点をまとめると、ReactElement
とJSX.Element
はどちらも React のエレメントを表現するための型であり、どちらも React のレンダリング API に渡すことで画面に表示することができます。しかし、ReactElement
は React の API を使用してエレメントを作成する際に使用され、JSX.Element
は JSX 式を使用してエレメントを作成する際に使用されるという違いがあります。
つまり、ReactElement
とJSX.Element
の主な違いは、どのような手段でエレメントを作成したか、という点にあります。どちらも同じエレメントを表現するためのものであり、どちらも React のレンダリング API に渡すことが可能ですが、エレメントの作成方法が異なるために異なる型が使用されるのです。
TypeScript と JSX.Element
TypeScript を使うと、JSX.Element の扱いが少し複雑になりますが、TypeScript は JSX を完全にサポートしています。TypeScript における JSX.Element の型は、React コンポーネントが返すべき要素を表しています。
例えば、次のようなコンポーネントがあるとしましょう。
const MyComponent = (): JSX.Element => {
return <div>Hello, World!</div>
}
このコンポーネントは JSX 要素を返しており、その型は JSX.Element です。しかし、このコンポーネントに何かのプロパティを追加したい場合、どうすれば良いでしょう?
ここで登場するのが、TypeScript のジェネリクスです。以下のように書くことで、Props の型を定義することができます。
type MyComponentProps = {
message: string
}
const MyComponent = ({ message }: MyComponentProps): JSX.Element => {
return <div>{message}</div>
}
このように、TypeScript は React の JSX.Element 型を効果的に扱い、開発者がより堅牢なコードを書くのを助けてくれます。
以上が、React JSX.Element の基本と、それが React コンポーネントでどのように利用されるのかの解説でした。この知識を基に、より質の高い React コンポーネントの開発を進めていただければと思います。